■ この資料について
この資料は 増井 俊之 氏による 視覚化チュートリアル資料 を元に作成したものです。
■ Information Visualization(情報視覚化)とは
大量の抽象的な情報を効果的に計算機画面に表示することによりユーザが情報を理解したり操作したりすることを助けるという比較的新しい概念
■ 背景
-
視覚化とは
- 従来 : シミュレーションによる科学技術計算の結果を画面に表示する Scientific Visualization
- 現在 : Webの発展や大規模記憶装置の普及 ,エンドユーザにも大量のデータを処理/表示可能 → 情報視覚化技術
- 誰もが高度な視覚化システムを利用できるようになった
- 誰もが視覚化システムを考案/構築できるようになった
- 機能だけでなく見栄えも良い視覚化システムが増えてきた
- 視覚化システムは既に充分研究されており実用段階に入った
- 視覚化システムやその構築ツールが商売になると考えられるようになった
■ Scientific Visualization と Information Visualization
-
Scientific Visualization
- 専門家が使用
- 科学的現象の解明
- 対象データが物理的データ・測定結果・シミュレーション結果
-
Infomaion Visualization
- あらゆる人が使用
- 検索・関連の発見
- 対象データが関係などの抽象的データ(ex. プログラム・Web・ファイル構造)
- インタラクションが重要
■ Visualization(視覚化)の分類
視覚化の種類 | データ | 視覚化手法 |
---|---|---|
Scientific Visualization | 具体的 | 固定的 |
Data Visualization | 具体的 | 任意 |
Information Visualization | 抽象的 | 任意 |
■ Information Visualization の用途
- 情報検索
- データ解析
- プログラムデバッグ
■ Information Visualization に必要な技法
-
必要なものだけ表示する技法
- 画面の表示可能領域に制限
- 情報を選択的に表示
- ズーミング手法・フィルタリング手法・重要度計算手法・画面を歪ませて表示する手法 e.t.c.
-
全体と詳細を同時に見る技法
- 全体を概観しながら詳細も見ることが可能
- ズーミングの応用
-
抽象データの画面へのマッピング技法
- 表示すべきデータがユーザ操作により変化
- 表示すべき情報をどのような位置,形,色で表示するか
- グラフの自動配置手法・階層構造の表示手法 e.t.c.
-
自動レイアウト技法
- 重なりがちゃんと見えるように
- グラフの自動配置手法の一つ?
-
インタラクション技法
- 直接操作によって画面を移動・拡大させたり,条件を変更して動的検索を行ったりする手法
- 各直接操作手法・ズーミングとフィルタリングを組み合わせる手法 e.t.c.
■ Information Visualization の表示技法(レイアウト)
- 自動配置
-
3次元視覚化
- 遠くを小さく 近くを大きく
-
ズーミング
- 線形ズーミング
- 非線形ズーミング
- 色の濃淡・透明度
- アニメーション
■ Infomaion Visualization のインタラクション技法
-
直接操作
- わかりやすい
- GUIで有効
-
動的検索
- フィードバックがある必要がある
- 連続的・可逆的操作
- 検索手法
■ 昔のトレンド
- 2次元レイアウト
- プリティプリンタ
- Program Visualization
- Algorithm Animation
- Tool kit
■ 最近のトレンド
-
Web上での実現
- Java・VRML e.t.c.
- 動画像
- ベンチャー
-
さまざまな分野への応用
- データマイニング
- セキュリティ
- ネットワーク
■ 各種システム
● Information Visualizer
-
Information Visualizer
-
The Information Visualizer, an information workspace,
In Proceedings of the ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'91), pp. 181--188. ACM Press, 1991.
:
- Cone Trees や Perspective Wall などの総称
-
-
Perspective Wall
-
The perspective wall: detail and context smoothly integrated,
In Proceedings of the ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'91), pp. 173--179. ACM Press, 1991.
:
- 長いリストを曲がった壁に貼りつける
- 視点から遠いものは自然に小さく/近いものは大きく表示される
- 中央に注目する部分を表示
-
-
Cone Trees
-
Cone Trees: Animated 3D visualizations of hierarchical information,
In Proceedings of the ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'91), pp. 189--194. ACM Press, 1991.
:
- 階層をもつ大きな木を円錐状に3次元表現
- 裏側を見たいときは円錐が回転しこちら側に移動
-
-
Hyperbolic Tree
-
A focus+context technique based on hyperbolic geometry for visualizing large hierarchies,
Computing Systems (CHI'95). Addison-Wesley, May 1995.
:
- 親子関係を結線関係で表現
- `Hyperbolic Space'(非ユークリッド空間)に情報を配置
- 遠くのものほど小さく見え,沢山表示可能
- 無限の双曲空間から単位円内部への写像を利用して,大きな階層を単位円内に配置している.
- 双曲幾何のポアンカレモデルを用いており,隣接するリンク間の角度を大きくとることができ,隣接するリンクを識別しやすい.
-
-
Table Lens
-
The Table Lens : Merging graphical and symbolic representations in an interactive focus + context visualization for tabular information,
Computing Systems (CHI'94), pp. 318--322. Addison-Wesley, April 1994.
:
- 巨大な表を小さな画面で操作
- 必要な行/列のみ表示
- 周囲の状況を維持しつつ,列や行を引き伸ばしたり,フォーカスしたりできる
-
● 比較的単純な3次元視覚化
-
Information Cube -
[PDF]
-
The Information Cube: Using Transparency in 3D Information Visualization ,
Proceedings of the Third Annual Workshop on Information Technologies & Systems (WITS'93), pp. 125-132, 1993.
: -
InformationCube: 3D information visualzation technique usnig transparency,
Computer Software, vol.11, no.6, pp.63-74, 1994 (in Japanese)
:
- 階層構造を透明な立方体の入れ子で表現
-
-
VisuaLinda -
[PDF]
[VisuaLinda] [VisuaLinda Front] [VisuaLinda Side]-
A Framework and A System for Visualizing Parallel Linda Programs,
in Proc. of 1997 IEEE/CS Symposium on Visual Languages (VL'97), 1997.
: -
並列言語lindaのプログラムの実行状態の3次元視覚化,
竹内彰一(編), インタラクティブシステムとソフトウェアII: 日本ソフトウェア科学会 WISS'94, pp. 215--223. 近代科学社, 1994.
:
- 並列言語の制御/データ移動を3次元視覚化
-
-
SCCS (Source Code Control System) 視覚化
[PDF]
-
Integrating Version Control and Module Management using Three-Dimensinal Visualization,
Proc. of Human-Computer Interaction (HCI'97), 1997.
:
- プログラムのバージョン情報を3次元視覚化
- モジュール間の関係/時間関係が一目瞭然
-
● 線形ズーミング
-
Pad リンク切れ
-
Pad: An alternative approach to the computer interface,
ACM SIGGRAPH'93 Conference Proceedings 1993.
:
- ズーミングインタフェースの先駆
- 平面を無限に連続的に拡大/縮小して文書等を表現
- 巨大な階層をなめらかにブラウジング可能
- 部分切り取りも可能
-
-
Pad++
Pad++ のプレゼン資料をブラウジング 縮小 <- -> 拡大 ファイルブラウザとしての利用 縮小 <- -> 拡大 HTMLブラウザとしての利用 縮小 拡大 リンク構造 リンクと履歴 -
Pad++: A zooming graphical interface for exploring alternate interface physics,
Proceedings of the {ACM and Technology (UIST'94)}, pp. 17--26. ACM Press, November 1994.
:
- Padの拡張
- 検索/フィルタ機能
- ツールキット化
-
-
WING -
[PDF]
-
Multiple-view approach for smooth information retrieval,
In Proceedings of the ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST'95), pp. 199-206. ACM Press, November 1995.
: -
なめらかなユーザインタフェースによる地図情報検索システム,
田中二郎(編), インタラクティブシステムとソフトウェアIII: 日本ソフトウェア科学会 WISS'95, pp. 231--240. 近代科学社, 1995.
:
- 「なめらかなインタフェース」という考え方にもとづいた地理情報検索システム
- ズーミングを利用した連続的/可逆的インタフェース
- 1次元/2次元/3次元ズーミング
- 各種の属性からの直感的情報検索が可能
-
● 非線型ズーミング
- 大規模データの一部だけ拡大表示
- 全体中での位置を認識しながら部分の詳細を調べられるようにする (Focus + Context)
- 近年研究が盛ん
-
Generalized Fisheye View
-
Generalized fisheye views,
In Proceedings of the ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'86), pp. 16--23. ACM Press,1986.
:
- 階層構造のある大量のデータを効果的に視覚化する手法
- 視点の付近はすべて表示を行ない,視点から遠いものは重要なもののみ表示する
- `重要さ関数' 選択により各種の視覚化が可能
- Degree of Interest = A Priori Interest - Distance
-
-
Fisheye View Graph
-
Graphical fisheye views,
Communications of the ACM December 1994.
:
- グラフの構造を変えずに一部分を拡大
-
-
H3
-
H3: Laying out large directed graphs in 3d hyperbolic space,
Visualization, pp. 2--10, October 1997.
:
- 親子関係を結線関係で表現
- Hyperbolic球面に情報をマップ
- 3次元視覚化とHyperbolic手法の組みあわせ
-
-
Skitter
- H3 の視覚化手法に基づいている
- 図はネットワーク構造やラウンドトリップタイムを視覚化したもの
-
Fisheye View
-
図的思考支援を目的とした図の多視点遠近画法について,
情報処理学会論文誌, Vol. 32, No. 8, pp. 997--1005, 1991.
:
-
-
Keahey のシステム
- 構造を変えずに連続的に注目点を拡大
● フラクタル視覚化
- Generalized Fisheye Viewの改良
-
重要度と視点からの距離に加えて枝の分岐数も考慮
- 枝わかれが少ないときは遠くの枝まで見える,etc.
- 階層構造の多くは自己相似的 → フラクタル的重要度の付加により常に表示量をほぼ一定に制御することが可能
-
Fractal Views
-
Fractal Views: A Fractal-Based Method for Controlling Information Display,
ACM Trans. on Information Systems, Vol.13, No.3, July, pp.305-323, 1995.
: -
フラクタルの概念に基づく提示情報量制御手法,
情報処理学会論文誌, Vol. 33, No. 2, pp.101-109, 1992.
:
- 大きな階層構造の表示部分を細かく制御
- 枝の数/枝の長さの制御
-
● 情報検索系システム
-
VIVE
-
To see or not to see = is that the query?,
Conference on Research and Development in Information Retrieval, pp. 134--141. ACM, ACM Press, October 1991.
:
- 検索キーワードを2次元空間上に配置
- キーワードで検索された文書をその間に配置
- キーワードを動かしてみることにより曖昧性を除く
-
-
Infocrystal
-
Visual tools for information retrieval,
Proceedings of 1993 {IEEE (VL'93)}, pp. 160--168. IEEE Computer Society, IEEE Computer Society Press, 1993.
:
- 複雑化しやすいベン図をわかりやすく表現
-
-
Tilebars
-
Tilebars: Visualization of term distribution information in full text information acces,
Computing Systems (CHI'95)}, pp. 59--66. Addison-Wesley, May 1995.
:
- キーワードの文書内分布をタイル状に表示
-
-
Cat-a-Cone
-
Cat-a-cone: an interactive interface for specifying searches and viewing retrieval results using a large category hierarchy,
Conference on Research and Development in Information Retrieval}, pp. 246--255, July 1997.
:
- 文書検索結果をWebBookで表現
- 文書のカテゴリ階層をConeTreeで表現
-
-
納豆ビュー
-
「納豆ビュー」の対話的な情報視覚化における位置づけ,
情報処理学会論文誌 Vol.38 No.11, pp.2331-2342, 1997年11月.
:
- 2次元レイアウトされた図の中の興味のある点を持ち上げると,納豆のように関連点がついてくる
- 図が複雑になって収拾がつかなくなるのを回避
-
-
ピテカン辞書
[PDF]
-
なめらかなユーザインタフェース,
第37回冬のプログラミングシンポジウム予稿集, pp. 13-23. 情報処理学会, January 1996.
:
- 動的曖昧検索 + 1次元ズーミング
- 曖昧検索によるフィルタリングとズーミング操作により小さな画面で巨大なリストの検索を行なうことができるシステム
- LensBarの前身
-
-
LensBar -
[PDF]
[PDF]
-
LensBar - Visualization for Browsing and Filtering Large Lists of Data ,
In Proceedings of InfoVis'98, October 1998. pp.113-120.
: -
ブラウジングとキーワード検索を統合したGUI部品LensBar,
安村 通晃(編), インタラクティブシステムとソフトウェアVI: 日本ソフトウェア科学会 WISS'98, 近代科学社, December 1998.
:
- ズーミングによる拡張スクロールバー
- 自動曖昧検索との融合
- 検索マッチ結果をスライダバックグラウンドに視覚化
-
-
WEBSOM
-
Websom - self-organizing maps of document collections,
Neurocomputing, volume 21, pages 101-117,(1998).
:
- 多次元データを2次元平面にマッピング
- 類似データを自動的に近くに配置
-
-
見えログ -
[情報処理学会]
-
見えログ: 情報視覚化とテキストマイニングを用いたログ情報ブラウザ,
情報処理学会論文誌, Vol.41, No.12, pp.3265 -- 3275 ,(2000).
: -
見えログ: 情報視覚化を用いた ログ情報調査支援システム,
インターネットコンファレンス'99, p. 146. 日本ソフトウェア科学会, December 1999.
:
- ログ情報から特徴情報を抽出
- 単語や句の出現頻度から情報抽出
-
-
HishiMochi
- 親子関係を包含関係で表現
- 縦横比を保存したまま,任意複数のノードを拡大,縮小可能
- レイアウトの自由度が高いが,空間効率を犠牲にしている
- カテゴリ階層を検索結果を同一ビューで表示するシステム
- ディレクトリ構造を前提
- 更新前後のビューを連続的に補間し,なめらかなアニメーション表示を提供
-
The Brain : Web Brain
● メリーランド大学の視覚化システム
- Dynamic Query(動的検索)を重視
- 3次元/ズーミングは興味が無い?
-
FilmFinder
-
Visual information seeking: Tight coupling of dynamic query filters with starfield displays.,
Computing Systems (CHI'94)}, pp. 313--317. Addison-Wesley, April 1994.
:
- 映画データの様々な属性を視覚化
- 動的検索によるリアルタイムフィルタリング
- AlphaSlider(微調整可能なスライダ)で検索条件を微調整
-
-
TreeMap
-
Treemaps: A space-filling approach to the visualization of hierarchical information structures,
Proc. of the 2nd International IEEE Visualization Conference, pp. 284--291, San Diego, October 1991.
:
- 空間効率を極力重視した描画方法
- 階層構造を2次元平面にマッピング
- 縦分割/横分割を繰り返す
- 左は NBAの選手をTreeMapで視覚化
- 中央はMacintoch のファイルシステムをTreeMapで視覚化
- 右は図書館の中で広く使用されるデューイ十進分類法階層をTreeMapで視覚化
-
-
LifeLines - [PDF]
-
LifeLines: Using Visualization to Enhance Navigation and Analysis of Patient Records,
Revised version in 1998 American Medical Informatic Association Annual Fall Symposium (Orlando, Nov. 9-11, 1998)
:
- 少年非行履歴の視覚化
-
-
Spotfire
- IVEEによる商品化
- AlphaSlider, Rengesliderなどの部品
- 動的検索ツール/視覚化ツール
-
WebTOC
- 画面はメリーランド大学のHuman-Computer Interaction LaboratoryのウェブサイトをWebTOCによって視覚化したもの
- Text,Image,Audio,Other のカテゴリ分けがしてあり,ウェブサイトを構成するファイルサイズの割合を視覚的に表現
● Graph Layout 系
-
DocSpace リンク切れ
-
DocSpace: 文献空間のインタラクティブ視覚化,
日本ソフトウェア科学会 WISS'96, インタラクティブシステムとソフトウェアIV, 近代科学社, pp. 11-20 (1996).
:
- 文書とキーワードの近さを `ばね' の長さで表現
- ばねの強さで自動配置
-
-
Galaxy of News
-
Galaxy of news: An approach to visualizing and understanding expansive news landscapees,
Proceedings of the {ACM and Technology (UIST'94)}, pp. 3--12. ACM Press, November 1994.
:
- 関連に応じてカテゴリを配置/視覚化
- カテゴリ階層をズーミング/透明度/アニメーションで表現
- Perspecta で商品化
-
● プログラム視覚化
- アルゴリズムアニメーション,デバッグ支援など古い研究
- 1980年代半ばまでは Visual Programming と Program Visualization との区別が明確でなく混同して使用されていた
-
B. A. Myers が,
グラフィックスそれ自体がプログラムであるものを Visual Programming,
プログラムは従来のテキストで記述され,プログラムのある側面や実行状態を表示するために
グラフィックスを利用するものを Program Visualization と定義した.-
Visual programming, programming by example and program visualization: A taxonomy,
In Proceedings of the ACM Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI'86), pp. 59--66. ACM Press, 1986.
:
-
-
さらに,描画が静的なものか動的か,視覚化するものがコードかデータかの2つの軸によって以下の4種類に分類
静的コード視覚化システム 古典的なのは,プログラムを読み込みプログラムの制御構造を自動的にフローチャートとして出力するもの
コードを整形出力するシステムもこの範疇静的データ視覚化システム MyersのIncenseはポインタ接続された構造体のようなデータ構造を自動的に図形出力 動的コード視覚化システム 一部デバッガのように,コードの実行されている部分を動的にハイライトするシステム等 動的データ視覚化システム データの変化等を動的に表示するシステムでアルゴリズムアニメーションシステムが有名 - Program Visualization の分野に大きな影響を与えたのは Algorithm Animation である
-
アルゴリズムとデータ構造の教科書では図を用いて読者の理解を助けようとしているが,
静的な図ではアルゴリズムのダイナミックな動きを表現しきれない
- Algorithm Animation の問題点
-
デザイナの苦労が大きい.
エンドユーザが理解しやすいような図を設計しなければならない.
効果的なアニメーションの手法を実現しなければならない. -
ソフトウェアプローブ挿入の手間
アニメーションを得るために,エンドユーザはプログラム内にソフトウェアプローブと呼ばれる視覚化手続きを挿入する必要がある -
デザイナによって実現されたシステムの汎用性が低い
デザイナによって設計される図は対象とするアルゴリズムに完全に依存
あるアルゴリズムにカスタマイズされたシステムは他のアルゴリズムに対しては動かない
デザイナは異なるアルゴリズムには新たな図を設計しなければならない
-
デザイナの苦労が大きい.
- Algorithm Animation System は,プログラミング初心者教育用あるいは特定のアルゴリズム研究者用と用途が限られてしまう.
-
静的データ視覚化システム
-
Incense
-
Incense: A system for displaying data structures,
Computer Graphics, Vol. 17, No. 3, pp. 115--125, 1983.
:
- ポインタ接続された構造体のようなデータ構造を自動的に図形出力
-
-
Incense
-
静的コード視覚化システム
-
WEB
-
Literate programming,
The Computer Journal, Vol. 27, No. 2, 1984.
:
- プログラムとプログラムに対する解説の混在したファイルから,整形されたドキュメントとコンパイル可能なプログラムの両方を生成する.
- このドキュメント中においてコードは,制御構造を表すように段付けされるとともに,複数のフォントを用いて表示された.
-
-
SEE
-
Human Factors and Typography for More Readable Programs,
ACM Press, 1990.
:
- プログラム解説文よりもコード自体の整形出力により力点をおいて開発
- 段付け,複数フォントの利用の他に,コメント文の形態に応じて網掛表示やプログラム本体からの分離を行う
- 関数呼び出し関係や実行例等とともに1つのプログラムを統合的に整形出力
- コードの整形出力システムとしては若干大袈裟で装飾過剰ぎみのところがあり,実用性という点で難有り.
-
-
SeeSoft リンク切れ
-
Seesoft - a tool for visualizing line-oriented software statistics,
IEEE Trans. on Software Engineering, Vol 18, No. 11, pp. 957--968, 1992.
:
- プログラムに関する全体情報の把握を目的としたシステム
- プログラムの各行は色の付いた1本の線として表示
- 最新のラインは赤,最も古いラインは青,間を虹色で表現する
-
この色はコードの変更履歴といった統計データを表し,ユーザはプログラムの概略を把握するとともに,
プログラムの履歴情報を獲得することが可能 - 現在最大 50000行 までしか表示できないという制約がある
-
-
WEB
-
動的コード視覚化システム
-
BALSA
-
Algorithm Animation,
MIT Press, Cambridge, MA, 1988.
:
- 各種アルゴリズムを視覚的に,かつアニメーションを利用して表示
-
例えばバブルソートプログラムでは,各データはその値に対応する高さを持った柱として表示され,
プログラムの実行とともにデータ同士が交換されていく様子がダイナミックに表示される
-
-
Tango
-
TANGO: A framework and system for algorithm animation,
Computer, Vol. 23, No. 9, pp. 27--39, September 1990.
:
- アニメーション記述の点を改善し,比較的容易にアニメーションが指定できるようになっている
- エンドユーザが理解しやすいような図を設計しなければならない
-
-
Pavane
-
Visualizing concurrent computations,
In Proceedings of 1991 IEEE Workshop on Visual Languages, pp. 18--24. IEEE CS Press, 1991.
:
-
宣言的記述による Algorithm Animation System でアニメーションを得るために,
エンドユーザはプログラム内にソフトウェアプローブと呼ばれる視覚化手続きを挿入する必要が無い
-
-
Zeus
-
Zeus: A system for algorithm animation and multi-view editing,
In 1991 IEEE Workshop on Visual Languages, pp. 4--9, October 1991.
:
- BALSAの後継
- 1つの実体に対して,複数の図形やテキストを対応させ編集できるMultiview Editingの機能を実現
-
最近ではこの機能を利用し,アルゴリズムアニメーションとしての枠を超え
一般的CAI (Computer Aided Instruction)にシステムを応用している. (アニメーションと同時に,解説文が同期して表示される)
-
-
ZADA
- ZEUS に基づいた分散アルゴリズムのアニメーションおよびコミュニケーション・プロトコル
-
BALSA
● データマイニング
- 大量のデータの中から意味のある性質を発見
- 視覚化による発見
● メディアアート系視覚化
- デザインと計算機科学の融合
- アート/デザイン = インタフェース?
- 視覚化, GUI = 画面とインタラクションのデザイン
- 計算機科学者の作るものよりも格好良い
- 動きを効果的に利用したものが多い
-
Breathing Earth
Sensorium [日本語]の 西村佳哲
- 地球上の地震の視覚化
- リアルタイムに地震情報をWebから取得
-
Kinetic Typography (踊る文字列)
CMUの石崎豪
- メディアラボ の ジョン前田
- IAMASの 岩井俊雄
- Art+Com
● ブックマーク視覚化
-
BookMap
- ブックマークと履歴の情報を同時に表示しようと試みる
-
WebBook & WebForager
- 3次元空間に机や本棚を配置し,WebBookを置くことができる
- 一目見ただけで使い方が想像できるメタファ
-
Data Mountain
- ページのサムネールを山の斜面に置くメタファを使用
- ページ同士が重なっても比較的多くのページを一望可能
- 視点が固定
-
Motion Bookmark
国際メディア研究財団の 古堅真彦
- ブックマークの視覚化
- ダイナミックな動き
- それぞれをドラッグするとそれに関係のある項目がついてきます
- ブックマークをクリックするとリンクされたページにジャンプ
● 履歴,アジェンダの視覚化
-
MosaicG
- 履歴の木を視覚化するシステム
- 各ページをサムネール表示,タイトル表示,省略表示などに切り替えることが可能
- 一度訪問したページに迅速に戻ることが可能
-
MEMOS
- 探したい情報ごとに履歴を保存することが可能
-
Scratchpad
- 選択したリンクを保存できる一部記憶域を設けている.
- 幅優先やbest firstなどの戦略でナビゲーションが行える
● 生物学情報の視覚化
-
EBI Hyperbolic Viewer
EMBLのDNA特徴テーブル 真核生物の系統発生 48の蛋白質の類似点 ファイルシステムを視覚化 Demo Demo Demo Demo - 生物情報の視覚化ツールキット
- 遺伝子に限らず生物情報は大規模なものが多いため
● 未分類
- Visual Thesaurus
- TouchGraph
- GINGA
-
Continuous Zoom
- 親子関係を包含関係で表現
- 縦横比を保存したまま,任意複数のノードを拡大,縮小可能
- レイアウトの自由度が高いが,空間効率を犠牲にしている
-
Elastic Windows
- リンク先も同時にブラウジングでき,空間の分割比率を変更できる
-
FSN (File System Navigator)
Download - 紹介文
- 3Dファイルナビゲーター
- ファイルシステムの階層構造をビジュアルに表現.
- マウスでファイルシステムの中をブラウズし,クリックするとフォーカシングされ,ダブルクリックするとそのファイルが実行される
- ディレクトリのツリー構造がビジュアルに表現され,ファイルは高さがファイルサイズ,色はいつ作成したファイルかを示す
- 作成日やサイズをビジュアルに見ることができる.
- ファイルは土台の上に配置.サブディレクトリは背景へ後退
- ジュラシックパークの最後でセキュリティシステムを動作させる画面として登場したものである
-
Lifestreams
- 時系列順にアイテムを表示
-
XML3D
- 親子関係を結線関係で表現
-
Map of the Market
- Tree Map の応用
- アメリカの株式市場を視覚化
-
Cheops
- 簡潔に階層を表示するために積み重ねられた三角形を使用
-
Information Slices
- JDK1.2 のファイル構造をInformation Slices で視覚化
- より深い階層を表示するため,ディスクは左のマージンで積み重ねられる
-
Harmony Local Map
- ハイパーメディア・ネットワークのノードおよびリンク用のグラフ・レイアウト
- ハイパーメディア・ドキュメントのリンク環境のマップをレイアウトするためにグラフを引くアルゴリズムを使用
- 図では,Unixマニュアル・ページ1と2リンクはgrepのマニュアル・ページから遠ざけて視覚化されている
-
Harmony Local Map 3D
- 水平軸に階層構造,垂直軸にハイパーリンク接続を表現
-
Harmony Information Landscape
- Hyperwave のコレクションの構造を視覚化
- FSN に似ており,ドキュメントは土台に配置され,サブコレクションは背景に後退する.
-
GopherVR
- 一度に1レベルのGopherの階層を視覚化
- 中央のピラミッドには現在のレベルの名称を表示
- クリックすると1レベル上のレベルに移動する
-
Information Pyramids
-
Visual Exploration of Large Hierarchies with Information Pyramids,
6th International Conference on Information Visualisation (IV02), London, pp.793-798, (2002).
:
- 左図は jdk1.2 のTree の Information Pyramids による視覚化
- ディスク使用状況を上からの視点で表現
- 3D表示のためにOpenGLを使用
- 各ブロックのサイズは内容のサイズに比例する
- 階層を降りると上方へ成長するピラミッドのイメージ
- 右図は JExplorer.JExplorer は Java Tree Viewer と Information Pyramids の表示を結合させる
- JExplorerはJava JDK1.2.2を視覚化している.
-
-
SemNet
-
SemNet: Three-dimensional graphic representation of large knowledge bases,
In R. Guindon, editor,Cognitive Science And Its Applications For Human-Computer Interaction, pp. 201--233. Lawrence Erlbaum Associates, 1988.
:
増井氏によるコメント -
-
SInVis Magic Eye View
-
Attribute Explorer
-
Botanical Visualization
-
Envision
-
Java Swing Tree View
-
Search Result Explorer
-
SPIRE
-
Visualization Islands
-
Xdu
-
Fractal View Editor
- Zooming できる Editor
- 図は C のソースを編集しているところ.着目点は24行目
- 通常は vi モードで編集
- 必要に応じてFractal Viewモードにし,制御構造を確認するのが正しい使い方らしい
-
nScope
縮小 <- -> 拡大 - ネットワークモニタリングツール
■ 情報視覚化の将来
-
見栄え重視
- CG
- アニメーション
- 小画面・大画面対応
-
実世界化
- 音
- 手触り
- 実物化
- Augmented Reality
-
Auralization
- 聴覚的に情報を提示
-
M. H. Brown が論文の中でAlgorithm Auralizationと呼んだ
ソートプログラムにおいて, 各データにその値の大きさに応じた音を対応させ,データがソートされる様子を聴覚的に表現-
Color and sound in algorithm animation,
Computer, Vol. 25, No. 12, pp. 52--63, December 1992.
:
-
- Auralization の限界
- ある瞬間に実行を中断しそれまでの結果を分析することが難しい
- 2つの状態を比較して定量的に議論をすることが難しい
- Auralization は Visualization を補うもの
■ Information Visualization 関連書籍
-
Readings in Information Visualization: Using Vision to Think
Edited by Stuart K. Card, Jock Mackinlay, and Ben Shneiderman
-
The Craft of Information Visualization: Readings and Reflections
-
Envisioning Information
by Edward R. Tufte
-
Visual Explanations : Images and Quantities, Evidence and Narrative
by Edward R. Tufte
-
The Atlas of Cyberspace
-
Mapping Cyberspace
-
Modern Information Retrieval (Acm Press Series)
- Introduction to Modern Information Retrieval
■ 参考文献
- 増井 俊之 : 視覚化チュートリアル資料
- ブラウザのための可視化とナビゲーション支援,人工知能学会誌,16巻,4号,pp.509-514(2001). :
- 増井 俊之 : 情報視覚化チュートリアル資料
- 増井 俊之 : 情報視覚化の研究動向
- bit別冊 ビジュアルインタフェース -ポストGUIを目指して-,平川,安村編,第2.1章, pp.24-44, 共立出版, 1996. [小池 英樹 氏]
- Dr. Keith Andrews : Information Visualisation Lecture Notes
- http://www.ne.jp/asahi/seiji/pm/sikakuka.htm